9)医薬品開発に必要な「後発医薬品」を知る!

                      医薬品開発の流れ, 基礎試験, 臨床試験, 申請業務,

今回は「後発医薬品」の話ですが、普通の「お薬」とどこが違うのでしょうか?

この後、詳しくお話しますが、「後発医薬品」とは、基本的には普通の「お薬」(ここでは、先発医薬品と呼びます。)と同じ有効性と安全性を持ったもので、価格が5割位安い医薬品のことです。

 第9回目では、「後発医薬品」に関して、次の6つの項目に分けて話をしたいと思います。

    (1)後発医薬品の概略
    (2)先発医薬品と後発医薬品の有効性と安全性
    (3)後発医薬品が安価な理由
    (4)先発医薬品と後発医薬品の相違点の有無
    (5)先発医薬品の原薬は海外の粗悪なものを使用している可能性
    (6)後発医薬品の必要性

  それでは、初めに「後発医薬品の概略」について、説明します。

     厚生労働省ホームぺージ : 後発医薬品の使用促進について 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kouhatu-   iyaku/index.html

(1)後発医薬品の概略

・「医療用医薬品」には、新しく開発・販売される「先発医薬品(新薬)」と、先発医薬品の特許が切れた後に先発医薬品と同じ有効成分を同量含み、他の医薬品企業により製造・販売される「後発医薬品」があり、「ジェネリック医薬品」とも言われています。
・先発医薬品を開発した製薬企業では、新薬を9~17年もの歳月と、数100億円以上の費用をかけて開発しているので、開発した製薬会社は、特許の出願によりその期間(20~25年)、その「お薬」を独占的に製造・販売する権利が与えられます。しかし、特許期間が過ぎると、その権利は国民の共有財産となるため、他の製薬会社から同じ有効成分を使った「お薬」が製造・販売できるようになります。それが、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」です(特許期間中は、後発医薬品を承認申請することは出来ません)。    
・後発医薬品の場合、既に有効性や安全性については、先発医薬品で確認されていることから開発期間やコストが大幅に抑えられ、結果として薬の値段も先発医薬品と比べて5割程度、中にはそれ以上安く設定することができます。     
・後発医薬品は欧米では広く普及しており、その数量シェアは、アメリカでは90%以上、ヨーロッパ でも60~80%となっています。日本における数量シェアも、令和元年(2019年)9月時点で、約77%迄普及しています。この数量シェアを80%にすることを目標に、後発医薬品の普及を都道府県、医薬品企業、保険者等が進めた結果、現在、国全体での数量シェアはほぼ80%に達しています。

(2)先発医薬品と後発医薬品の有効性と安全性

          
・「安くて本当に効き目はあるのか」、「安全性は大丈夫なのか」と心配する方もいるかもしれませんが、後発医薬品の開発にあたっては、医薬品企業において様々な試験a)が行われており、それによって先発医薬品と有効性や安全性が同等であることが証明されたものだけが、厚生労働省大臣によって承認されます。      
・先発医薬品は特許期間中に多くの患者さんに使用され、その有効性と安全性が十分に確認されています。後発医薬品は先発医薬品と有効性・安全性が同等であることが、下記に記載した「生物学的同等性試験」により確認されています。

a) 規格試験:有効成分の純度や量等の品質を確認する試験
溶出試験:先発医薬品と同様に体内で溶けるかを確認する試験
定性試験:品質が温度や光に影響されずに、長期に保存しても変化がないかを確認する試験
生物学的同等性試験 :先発医薬品と同じ速度かつ同量の有効成分が体内に吸収されるかを確認する試験。

(3)後発品が安価な理由 

・先発医薬品の開発に要する費用が1品目 数100億円以上掛かるのに対し、後発医薬品の開発の場合には、先発医薬品程多くの試験項目の実施は必要ないことから、後発医薬品の開発の場合には、1 品目 1 億円程度とされています。また先発医薬品の使用経験により、有効性や安全性に関する評価が確立しているので、後発医薬品では情報提供に関する販売管理費も少なくなることから、低価格での提供が可能になっています。

(4) 先発医薬品と後発医薬品の相違点の有無 

・後発医薬品は先発医薬品と同じ有効成分(原薬)を同じ量含有し、有効性も安全性も同等な「お薬」ですが、後発医薬品は、先発医薬品とは異なる「添加剤 b)」を使用する場合があります。
・患者さんの体質によって、添加剤が原因でアレルギー反応等の副作用を引き起こすことはまれにありますが、これは先発医薬品であっても後発医薬品であっても、同様に起こり得る事です。このような場合は、医師や薬剤師に相談してください。

b) 添加剤(安定化剤、賦形剤、コーティング剤、結合剤、保存剤、崩壊剤等)は、「お薬」の成分(原薬)から製剤化する時に、効果(薬理作用)を持った成分に加え、それぞれの製剤を作成する際に必要となる効果(薬理作用)を持たない成分(添加剤)を追加して、製剤としての形状・形態に加工するために使用するものです。

(5) 先発医薬品の原薬は海外の粗悪なものを使用している可能性 

・当局の原薬の純度に関する審査に際しては、ICHの合意に基づく、「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン」を、後発医薬品に関しても、そのまま適用しています。従って、有効性及び安全性において、先発医薬品と異なる影響を与えるような純度の低い粗悪な原薬による製剤が後発医薬品として承認されることはあり得ません。


(6) 後発医薬品の必要性 

・今、国民医療費が年に約1兆円も増加していて、国民皆保険制度の維持のための負担が増加しています。後発医薬品は、低価格で新薬と同等の治療効果が得られる「お薬」です。自己負担の軽減だけではなく、将来の世代にその負担を先送りしないためにも患者さん一人ひとりができることとして後発医薬品の使用が求められています。

厚生労働省 : ジェネリック医薬品への疑問に答えます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078998_3.pdf

【今回の話の纏め】

 「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」は、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に製造・販売される、「先発医薬品と同じ有効成分を同量含んでおり、先発医薬品と同等の効き目がある」と認められた医薬品です。先発医薬品に比べて薬の値段が5割程度、中にはそれ以上安くなるものもあるため、一人ひとりの自己負担や国民医療費の抑制にもつながります。後発医薬品の使用を希望する場合には、病院、診療所、保険薬局で医師や薬剤師と相談してください。

                     医薬品開発の流れ, 基礎試験, 臨床試験, 申請業務,